Office 2007で何が変わったのか?
まずは、2007年までのMS Officeシリーズの経緯を見てみましょう。
年 | MS Officeのバージョン | 備考 |
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1993 | Office 1.0 | WordとExcelがパッケージ化されただけのもの |
1994 | Office 1.5 | |
1994 | Office 4.2 | 命名規則の変更 |
1995 | Office 4.3 | |
1995 | Office 95 | Windows95に合わせ32bit化。命名規則の変更 |
1997 | Office 97 | バイナリのファイルフォーマット採用、後方互換性無し( Office 2003まで継続)。Officeアシスタント機能、日本語の機能改善 |
1999 | Office 2000 | 多言語環境への対応 |
2001 | Office XP | ExcelでXMLフォーマットを導入 |
2003 | Office 2003 | XMLへの対応強化、WordでXMLフォーマットを導入。Office XPのExcelのXMLフォーマットも引き続き採用。バージョン命名規則変更 |
2007 | Microsoft Office System(Office 2007) | ツールバーとメニューバーによるインターフェイスを廃止し、リボンと呼ばれるコマンドタブを採用。デフォルトの保存形式がXMLとなる。旧バージョンとの互換性のためにバイナリ形式での保存も可能 |
2000年代にXMLの需要が世界的に高まる中、Officeシリーズでは徐々にその対応をしてきました。2001年、最初にExcelでXMLフォーマットを導入しました。表形式のデータのXML化は対応が比較的容易だったことと、Excelを使った帳票などのデータ形式をXMLで管理することのニーズの増大に伴ってのことでしょう。
Wordでは独自のバイナリ形式に加え、Rich Text Format(RTF)というテキストを拡張した交換形式がありました。多くのアプリケーションではRTFによってWord文書の読み書きができました。これら仕様の公開、互換性の保証についてはMicrosoft社に委ねられており、「バージョンを上げたら今までの文書が読み込めなくなった」ということが起こるかもしれませんでした。
次にOffice 2003では、WordでXMLフォーマットが導入されました。ドキュメントをデータベースとして管理することは、この時点で既に多くの企業が採用していました。WordのXML保存はデフォルトの保存形式ではありませんでしたが、Office 2003で導入されたWordのXMLフォーマット=WordMLはかなり需要があったと思われます。
そして2007年、OfficeはWord、Excel、PowerPointで「標準のファイル形式」としてXMLフォーマットを採用しました。WordとExcelにおいてはOffice 2003で使われていたXMLフォーマットをベースとして改良されています。そして、PowerPointでのXMLフォーマットの採用により、主要アプリケーションすべてがXML化されたことになります。
こうした流れを経て進化してきたOffice 2007のXMLフォーマットは、「Office Open XML(OOXML)」と命名され、その仕様が公開されることになりました。
次に、Office Open XMLの特徴を簡単に並べてみましょう。
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ファイルフォーマットをバイナリからXML(テキスト)へ変更したこと
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仕様が公開されていること
ファイルフォーマットの仕様を公開する、これはとても重要な意味を持ちます。仕様が公開され、その構造や内容が明らかになればOOXMLのファイルをさまざまに活用することができます。
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MS Officeが無い環境でもファイルの読み書きが可能なこと
今までのバイナリデータでは、専用のアプリケーションが無ければMS Officeのデータは読むことすら不可能でした。
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データがパーツ化されていることにより、データの再利用が可能になり、さらにデータ破損のリスクが分散されていること
OOXMLのファイルは、内部でパーツと呼ばれる複数のファイルに分割されています。共通のデータがパーツとして存在すれば、そのパーツを参照するようにして、システムの効率化を図ることが可能になります。また、データを分散することによりファイルの一部が破損したとしても復旧が容易です。
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zip圧縮により、ファイルサイズを小さくできること
XMLはテキストデータです。テキストデータをzip圧縮してパッケージ化することによって、Officeで生成される成果物のファイルサイズは飛躍的に小さくなりました。
OOXMLの採用以降、WordやExcelで複数人での共同編集や履歴機能が拡充されています。これらの機能はパーツ化の恩恵を受けているといえるでしょう。