PDF文書にオーナーパスワードを設定すると、PDF文書の内容についての利用制限を設定できます。オーナーパスワードのみが設定されているPDF文書はパスワードを入力しなくても、PDFリーダーなどで開いて、許可されている範囲内でPDF文書を利用できます。
利用制限は、印刷、内容の変更、内容の抽出(コピー)とアクセシビリティについて設定ができます。ISO 32000-1の標準セキュリティハンドラのリビジョンにより権限設定のタイプが2種類に分かれています。ただし、『PDF Tool API V7.0』以降では40ビットRC4を用いた暗号化は禁止されているため、タイプ1を指定することはできません。指定した場合はプログラムがエラーを出力します。
タイプ | 説明 | 権限設定内容 |
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タイプ1(※) | リビジョン2のハンドラで設定できる権限 | 暗号化キーが40ビットで表22の9~12ビットを全部許可するとき |
タイプ2 | リビジョン3、4のハンドラで設定できる権限 | 上記以外の権限を設定するとき |
※ 『PDF Tool API V7.0』以降では暗号化が不可となっている。
タイプにより設定できる項目の粒度が異なっています。
ビット位置 | ONの時の許可内容 |
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3 | 印刷を許可する |
4 | ビット6, 9, 11で制御する操作以外の内容の変更を許可する |
5 | テキストや画像の抽出を含めて文書からコピーを許可する |
6 | テキスト注釈の追加・変更と対話式フォームフィールドを埋めることを許可する。ビット4がONならば、新しい対話式フォームフィールドを作成したり、変更することも許可する |
ビット位置 | ONの時の許可内容 |
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3 | 印刷許可する—さらにビット12がONなら高精度印刷を許可、OFFなら低解像度印刷を許可(*) |
4 | ビット6, 9, 11で制御する操作以外の内容の修正を許可する |
5 | アクセシビリティ以外の目的でテキストや画像の抽出を許可する(*) |
6 | テキスト注釈の追加・変更と対話式フォームフィールドを埋めることを許可する。ビット4がONならば、新しい対話式フォームフィールドを作成したり、変更することも許可する |
9 | ビット6がOFFでも、署名を含め対話式フォームフィールドを埋めることを許可する(*) |
10 | スクリーン・リーダなどによるアクセシビリティサポートの目的でテキストや画像の抽出を許可する(*) |
11 | ビット4(内容の修正)がOFFの時でも、文書の合成を許可する—ページ挿入・ページ回転・ページの削除・しおりの作成・サムネイル画像の作成(*) |
12 | 高精度印刷を許可する。このビットがOFFのとき、低解像度の印刷のみを許可する。 |
*はリビジョン3、4でリビジョン2に追加された項目