1. 注釈

本章では注釈の作成・編集・情報取得・削除について説明します。PDFの注釈機能は、紙に例えるならば、印刷されている内容に対して、コメントをメモとして書き込むような機能です。PDFドキュメント上でコメントやテキスト等のノートをアイコンやボックスといった形でページ上の指定位置に置いたり、線、円や矩形といったオブジェクトをPDFページ上に張り付けたり、あるいは少し毛色が違いますが、マウスとキーボードによるリンク操作を設定できます。

ISO 32000-1:2008(PDF 1.7)とISO 32000-2:2017(PDF 2.0)では、次の28種類の注釈が規定されています。注釈の種類注釈はマークアップ注釈とその他の注釈に大きく分類されます。マークアップ注釈では表示用のテキストを持てます。

表1・1 注釈の種類
分類種類規定バージョン
マークアップ注釈
テキスト注釈(「ノート注釈」とも)

フリーテキスト注釈(「テキスト注釈」、「テキストボックス注釈」、「引き出し線付きテキストボックス注釈」)
1.3
ライン注釈
1.3
矩形注釈
1.3
円注釈(「楕円形」)
1.3
多角形注釈
1.5
折れ線注釈
1.5
テキストマークアップ注釈
ハイライト注釈(「テキストをハイライト表示」)
1.3
下線注釈
1.3
波状下線注釈
1.4
消し線注釈
1.3
ゴム印(ラバースタンプ)注釈
1.3
キヤレット注釈(「カーソルの位置にテキストを挿入」)
1.5
インク注釈(「フリーハンド」)
1.3
ファイル添付注釈
1.3
音声(サウンド)注釈
1.2
墨消し注釈
1.7
プロジェクション注釈
2.0
その他
リンク注釈

ポップアップ注釈
1.3
ムービー注釈
1.2
ウィジェット注釈
1.2
画面注釈
1.5
プリンターズマーク注釈
1.4
トラップネットワーク注釈
1.3
ウオーターマーク注釈
1.6
3D注釈
1.6
リッチメディア注釈
2.0

マークアップ注釈の多くはポップアップ注釈と組み合わされて使用されます。ポップアップ注釈は親のマークアップ注釈に付随して設定され、ポップアップウィンドウに親のマークアップ注釈のテキストを表示して編集する機能を提供します。