はじめに

『PDF CookBook』は、電子の紙PDFを企業向けのシステムで編集・加工する方法を紹介しています。いわば、PDFを“メイン素材”とする料理本です。

本書はシリーズ5巻目【改訂版】にあたります。巻5では『Antenna House PDF Tool API V7.0』(以下、『PDF Tool API V7.0』)で追加された新機能について、第1章:入出力PDFのバージョン、第2章:PDF/A、第3章:テキストボックス、第4章:エレメント、第5章:画像描画の追加機能、第6章:証明書セキュリティ、第7章:PDFフォームデータ、第8章:透かしのAcrobat®互換機能、第9章:テキスト抽出、第10章:その他追加機能をテーマに取り上げています。改訂内容としては、本文中のサンプルコードの修正になります。

PDFは元々米国のアドビ社が開発したものですが、後年その仕様はアドビ社からISO(国際標準化機構:International Organization for Standardization)に移管され、2008年にISO 32000-1:2008という国際標準規格となりました。最新のPDF仕様はISO 32000-2:2020(PDF 2.0)です。こうして、PDFを作成・利用するアプリケーションは誰でも開発・提供できるようになりました。例えば、Microsoft Officeには15年ほど前からPDF形式保存機能があり、Windows10以降ではPDF出力ドライバーが標準で付いています。またMicrosoft EdgeやGoogle Chrome、safariなど、主要なブラウザはPDFを表示する機能を内蔵しています。この15年でPDFを作成・表示する環境は著しく進化・充実しています。PDFを紙のように手軽に簡単に加工したいという需要はこれからも大きくなるでしょう。

本書は料理本になぞらえた構成で、企業向けシステムの企画・営業担当者から開発者まで幅広い層にPDFの活用法を紹介しております。“メイン素材”であるPDFの料理のイメージをできるよう、最初にできるだけ図版を載せています。調理器具“包丁”は、アンテナハウスのPDF編集・加工ライブラリ『Antenna House PDF Tool API』(以下、「『PDF Tool API』」)を前提としています。なお、本書ではISO 32000-2:2020で作成できるPDFの機能のうち、『PDF Tool API V7.0』がサポートしている範囲に限って説明しています。PDFの仕様で定められている内容のすべてを網羅している訳ではありません。あらかじめご了承ください。

本書で紹介しているプログラム例はJavaで作成しています。以下のURLよりダウンロードができます。

https://www.antenna.co.jp/ptl/cookbook/source/

『PDF Tool API』は、C++、.Net インターフェイスも用意していますので、Java以外の言語によるプログラミングも可能です。ぜひお試しください。

最後に、本書の過去巻はWebページ上に全文公開(html)されています。過去巻を参照する項を読み解く際にお役立てください。アンテナハウスオンラインショップでPDF版を、Amazonや楽天ブックス、hontoなどでプリントオンデマンド版(POD)を販売しております。こちらもご確認いただけると幸いです。

https://www.antenna.co.jp/ptl/usage.html#pagelink03