XSL Formatter V3.3 β の主な仕様/機能
XSL-FO ソフトウエアの開発に豊富な実績を誇るアンテナハウスは、V3で組版エンジンの完全な書き換えを行ないました。 これにより機能の強化はもちろん、より良い製品に向けての確かな基盤を築きました。
XSL Formatter V3.3 は、XML文章を綺麗に表示・印刷するための仕様として 2001年10月15日にW3Cで勧告された Extensible Stylesheet Language (XSL) Version 1.0 に対応したXML組版・印刷ソフトウェアです。
主な機能
XSL Formatter V3.3 は、以下のような優れた特徴を持っています。
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大容量組版が可能
新規に開発した組版エンジンにより、大容量組版を実現しました。
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高速に組版
新規に開発した組版エンジンにより、大幅な組版の処理速度の向上を達成しました。
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W3C仕様に忠実
W3CのXSL仕様のうち、非常に多くの要素、プロパティを忠実に実装しています。 例えば、overflow プロパティや、表組みでの table-layout="auto" にも対応しています。
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多言語組版
ラテン文字、キリル文字、ギリシャ文字、日本文字、中国簡体字、中国繁体字、ハングル文字、アラビア文字、ヘブライ文字、タイ文字など、Unicodeで扱えるほとんどの文字を扱うことができます。 また、縦書きや、アラビア語などの右から左への文章も記述でき、これらを混在させた文書も容易に作成することができます。 「XSL Formatter ハイフネーションオプション」をご購入いたたけば、ご自身でハイフネーション辞書をご用意していただく必要なく、40言語以上のハイフネーション処理が可能になります。
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PDFネイティブ出力エンジンでサーバ上でPDF出力も
組版結果を自力でPDFファイルに出力する独自開発エンジンにより、接続数無制限のサーバ上でXMLのPDF化が可能です。Acrobatのライセンスは不要です。
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組版結果をSVGに出力
独自開発エンジンにより、組版結果をSVGとして出力することが可能です。出力されるSVGは、SVG 1.1、SVG Basic、SVG Tiny を選べます。 この機能には、「XSL Formatter SVG出力オプション」が必要です。
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SVG、MathML、EMF、WMFをネイティブに描画
独自開発の描画エンジンにより、高解像度のSVG、EMF、WMF画像をPDF中に描画することが可能です。 XSL Formatter V3.3 では、「XSL Formatter MathML オプション」により、高解像度のMathMLをPDF中に描画することが可能です。
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組込みインターフェイス
コマンドラインインターフェイス、.NETインターフェイス、COMインターフェイス、Javeインターフェイスを用意しています (.NETインターフェイス、COMインターフェイス は Windows版のみ)。いずれもストリーム処理が可能です。これらを利用して、アプリケーションへの組み込みが簡単に行えます。
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.NETのネイティブ・パーサの出力を受け取れる
例えば、追加されたRenderメソッドによって .NETのネイティブ・パーサの出力(XML、XSLT出力)を、ファイルを経由せずに直接受け取ることができます。
また、.NETインタフォースだけでなくCOMインターフェイスでも DOMを直接受け取って、一時ファイルに保存することなく処理することができます。 -
プリンタに直接出力可能
Windows版では、PDFを経由することなく、プリンタへ直接出力することができます。GUIを使えば、その場で組版結果を確認して、直ちに印刷できます。
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GUI画面上で検索
GUI画面上で、組版結果中の文字列や属性を検索することができます。
動作環境
項目 | 内容 |
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Windows版 |
Windows NT4.0/2000/XP Windows Server2003 |
Solaris版 | Sun Solaris 8, 9 (Sparc版) |
Linux版 |
RedHat Linux 8.0, 9 Red Hat Enterprise Linux version 3,4 SuSE Linux 8.1 Turbolinux 8 MIRACLE LINUX V3.0 RC3 Debian GNU/Linux 3.0r2 |
Macintosh版 | Mac OS X Version 10.3 |
HP-UX版 | HP-UX11i v2 (B.11.23) ia64 version |
上記以外の動作環境へも逐次対応していく予定です。詳細についてはお問い合わせください。
Windows版について
Windows版をWindows NT4.0/2000/XP/Server2003へインストールする場合、管理者権限を持つユーザでログインしてください。NT4.0/2000では管理者権限がないとインストールできません。また Windows XP/Server2003 では、次のエラーメッセージが表示されてインストールすることができません。
「InstallShieldエンジン(ikernel.exe)を起動できませんでした。クラスが登録されていません」
Solaris版について
Solaris版をインストールする場合、スーパーユーザ(root)権限を持つユーザでログインしてください。管理者権限がないとインストールできません。
Linux版について
Linux版をインストールする場合、スーパーユーザ(root)権限を持つユーザでログインしてください。管理者権限がないとインストールできません。
XSL Formatter V3.3 Linux版は、GCC 3.2.X でビルドされています。よってXSL Formatter V3.3 Linux版は、ランタイムライブラリ libstdc++.so.5 を使用します。あなたの環境に libstdc++.so.5 が含まれていない場合は、ご自身で取得してください。
Macintosh版について
Macintosh版をインストールする場合、スーパーユーザ(root)権限を持つユーザでログインしてください。管理者権限がないとインストールできません。
Classic MacOS で利用されてきた、フォントがリソースフォークに定義されている旧フォントスーツケースには対応していません。
HP-UX版について
HP-UX版をインストールする場合、スーパーユーザ(root)権限を持つユーザでログインしてください。管理者権限がないとインストールできません。
組版の流れ
XSL Formatter V3.3 は、XSL Formatting Objects (XSL-FO) を組版、または、XML文書とXSLスタイルシートからの組版を行ないます。組版結果は、GUIを用いてディスプレイへ表示したり、PDFへ出力、または印刷されます (ディスプレイ表示と印刷は Windows版のみ)。
この流れは、次のようになります。
- XSL Formatting Objects を入力したときは、それを直ちに組版します。
- XML文書とXSLスタイルシートを入力したときは、それらを XSLTプロセッサを使って XSL Formatting Objects に変換し、その XSL Formatting Objects を組版します。
- WordML文書を入力したときは、それを XSLTプロセッサを使って XSL Formatting Objects に変換し、その XSL Formatting Objects を組版します。
- XML文書と、XSL Report Designer のレイアウト定義ファイルを入力したときは、 XSL Report Designer を使って XSL Formatting Objects に変換し、その XSL Formatting Objects を組版します。
XSLTプロセッサについて
XSL FormatterはXML文書とXSLスタイルシートから XSL Formatting Objects (XSL-FO) への変換にはXSLTプロセッサを使います。
Windows版
Windows版では、特に設定していない場合は MSXML4 または MSXML3 を標準のXSLTプロセッサとして使用します。
Windows XP、Internet Explorer 6以降 をご使用の場合は、MSXML3はすでにインストールされていますので組込みは不要です。そのままご利用いただけます。 Windows XP以外のWindows、もしくはInternet Explorer 6以前のInternet Explorerをご使用の場合は、MSXMLを入手/インストールしてください。
またWindows版で別のXSLTプロセッサを使用することも可能です。別のXSLTプロセッサを使用ときは使用するXSLTプロセッサの設定を行なってください。 XSLTプロセッサの設定は、「環境変数」または「オプション設定ファイル」で行ないます。
(XSLTプロセッサの設定方法の詳細はXSL Formatterのオンラインマニュアルをご覧ください。)
Solaris/Linux/Macintosh/HP-UX版
Solaris/Linux版では、別途XSLTプロセッサを用意して、使用するXSLTプロセッサの設定を行なってください。 XSLTプロセッサの設定は「環境変数」または「オプション設定ファイル」で行ないます。
(XSLTプロセッサの設定方法の詳細はXSL Formatterのオンラインマニュアルをご覧ください。)
MSXML4(MSXML3)の入手とインストールについて
MSXML4(MSXML3) は、以下からダウンロードしてください。
ダウンロードしたMicrosoft XML Parserは、(ファイル名はMSXML3SP1.EXE)は自己解凍ファイルですので、それを実行すると自動的にWindows Installer でインストールされます。
【注意】ご自分でシステムフォルダにコピーしても登録されませんのでご注意ください。
XSL Formatting Objects の仕様
XSL Formatter V3.3 は、Extensible Stylesheet Language (XSL) Version 1.0 に準拠しています。
実装済のFOとプロパティの一覧は XSL Formatter V3.3 オンラインマニュアルの「XSL仕様の実装状況」でご確認ください。
対応エンコーディング
XSL Formatter V3.3 が受け付けることのできるFOのエンコーディングは以下のとおりです。
- UTF-8
- UTF-16
- UTF-32
- ISO-10646-UCS-2
- ISO-10646-UCS-4
- ANSI_X3.4
- ISO_646.irv
- ISO646-US
- US-ASCII
- ISO_8859-1
- latin1
- Windows-31J
- Shift_JIS
- EUC-JP
- EUC-JP-FIX
- ISO-2022-JP
- GB18030
- GBK
- GBK2312
- GB18030
- Big5
- KS_C_5601-1987
- iso-ir-149
- korean
Shift_JIS は、Windows-31J として扱われます。歴史的な理由により、Macintosh の Shift_JIS と、Windows の Shift_JIS には互換性がありません。Macintosh の Shift_JIS での丸付き数字などの非互換部分は、文字参照などを用いて解決しておく必要があります。
FOの各エンコーディングには、弊社製「DMC Text Filter 」ライブラリを利用して対応しています。
なお、XML文書とXSLスタイルシートに関しては、利用するXSLTプロセッサに依存します。
XSL Formatter V3.3の新しい機能
XSL Formatter V3.3 は、V3.2に比べて格段に機能強化されました。主な変更点は以下のとおりです。
- SVGへの出力が可能になりました。SVG出力はオプションです。⇒ XSL Formatter SVG出力オプション
- GUIで検索ができるようになりました。
- トンボを出力できるようになりました。
- PDFへの注釈の出力ができるようになりました。
- 丸め径、ボックスシャドウの指定ができるようになりました。
- fo:block-container 中での段組が指定できるようになりました。
- axf:footnote-position が拡張され、傍注などができるようになりました。
- axf:footnote-alignで、脚注の配置を指定できるようになりました。
- 同一ページ内の同一の脚注を削除できるようになりました。
- スポットカラーに対応しました。
- JPEG2000に対応しました。
- ラスタ画像のダウンサンプリングができるようになりました。
- リニアライズドPDFが作成できるようになりました。(XSL Formatter V3.3 βでは動作しません)
- 欧文基本14フォントをPDFへ埋め込めるようになりました。