3–20 墨消し、修正テープの操作

「修正テープ」は、用紙PDF上の文字や画像などを覆って、出力したPDFを表示したときにそれらを見えなくする機能です。この機能には「修正テープ(墨消し)」(以下、この節では墨消しといいます)と、ただの「修正テープ」の2種類があります。両者には次の違いがあります。

「墨消し」
覆った対象を、出力したPDFのファイル内部から完全に削除してしまいます。
「修正テープ」
用紙PDFの一部を用紙と同色の四角形で覆い隠す機能です。修正テープは外見上文字や画像を見えなくするだけで、出力したPDF からデータを削除するものではありません。PDF内にはデータが残っているので、PDFからテキストや画像の抽出を行うソフトを使うと、隠した部分のデータを取り出せます。また文字列の検索対象になります。

墨消しと修正テープのコマンド指定方法や対象範囲の指定方法はほぼ同じです。そこで、以下では墨消しまたは修正テープとして一括で説明します。但し、PDFに出力した結果には上述の違いがあるので、使い分けに注意してください。

Mspng 墨消し処理のタイミング

「墨消し」はPDF出力のタイミングで処理され、出力したPDFでは墨消し指定した範囲が削除されます。編集情報ファイルではオブジェクトが設定されただけの状態なので、オブジェクトを削除すると元に戻ります。

墨消し・修正テープのコマンド指定方法

墨消しまたは修正テープを設定するには、次のいずれかの方法があります。

墨消し・修正テープの対象指定方法

墨消しまたは修正テープの対象となるテキストや画像、または領域を指定する方法には次の(1)~(3)の3通りあります。

テキストを選択して墨消しをクリック

図3・68 テキストを選択して墨消しをクリック

範囲を選択して墨消しを設定

図3・69 範囲を選択して墨消しを設定

墨消しまたは修正テープの色

墨消し箇所は黒塗りするのが一般的ですが、本製品では墨消しの色墨消しまたは修正テープの色はドラッグを開始した位置の色になります。

墨消し色の変更は、墨消しまたは修正テープを設定した後、選択モードで墨消しまたは修正テープを選択し、プロパティペイン「共通」タブの「背景」グループにある「色」コマンド右側の▼をクリックしてカラーパレットを出して、色を指定します。

修正テープの色を地の色と合わせたいときは、カラーパレットで「その他の色」をクリックすると出る「色の設定」ダイアログで、右下隅にある「スポイト」を修正テープに合った色の部分までドラッグしてマウスのボタンを放すと、その場所の色が採取されるので「色の設定」ダイアログの[OK]ボタンをクリックしてください。修正テープがスポイトで採取した場所と同じ色になります。

Mspng 修正テープのカラーと枠線

  • 用紙PDFがCMYKなどの特殊なカラースペースに設定されていると、PDF出力で背景と同じ色を再現できない場合があります。
  • 墨消しまたは修正テープの背景色に透明度は指定できません。
  • 墨消しまたは修正テープに枠線や斜線は付けられません。

墨消しまたは修正テープの選択、移動、サイズ変更、コピー&ペーストなどの操作については3–8 オブジェクトの作成、選択、移動など基本操作を参照してください。

Mspng 修正テープと他のオブジェクト操作の相違

次の操作は墨消しおよび修正テープには適用されません。

  • 墨消しおよび修正テープは常に他のオブジェクトの下(最背面)に描画されます。リボン「ホーム」タブ「オブジェクト」グループの「順序」で、順序の変更はできません。
  • 墨消しおよび修正テープに、テキストの追加はできません。