透かしはPDF文書のページ上の指定位置に、本文と重ねて、独立な表示する文字や画像を表示する機能です。「透かし」という機能がISO 32000-1で標準化されているわけではありません。「透かし」は各社の製品それぞれでISO 32000-1の機能を応用して実装されています。
『PDF Tool API』 の透かしはISO 32000-1の8.11 オプショナルコンテント機能を使っています。オプショナルコンテントはPDF文書の内容の一部を選択して表示・印刷ができるようにする機能です。本機能はPDF 1.5以降で規定されているため、『PDF Tool API』でPDF 1.4以前のPDF文書に透かしを付けるとPDFのバージョンを1.5に変更します(ISO 32000ではPDF 1.6から「透かし注釈(Watermark Annotation)」が規定されていますが、本章で説明する透かしは「透かし注釈」ではありません。また、Adobe Acrobat®やアンテナハウスの『瞬簡PDF編集』にも「透かし」という名前の機能がありますが、『PDF Tool API』で標準設定の透かし機能は、『AdobeのAcrobat®』や、『アンテナハウスPDF Driver V7.5』、『瞬簡PDF編集』の透かし機能とは互換性がありません。)。『PDF Tool API』 はV7.0以降で透かしにAdobe Acrobat®の互換設定を付けることが可能になりました。透かしのAcrobat®互換の詳細に関しては「『PDF CookBook』(第5巻)第8章 透かしのAcrobat®互換対応と機能追加」を参照してください。