2–2 おもな機能

2–2–1 V7.0の新機能


PDF Tool API V7.0では、PDF2.0対応を行っています。

 PDF2.0のファイルの読み込み

 セキュリティ設定対応

 注釈の外観辞書(APキー)への対応


PDF/Aへの変換処理と準拠確認処理を追加しました。

対応するPDF規格は、「PDF/A-1b」と「PDF/A-2b」です。


※「PDF/A」は、文書の長期保存を目的とした国際基準規格です。

「PDF/A-1b(PDF1.4相当)」は、ISO 19005-1 のレベルB に準拠した規格です。

「PDF/A-2b(PDF1.7相当)」は、ISO 19005-2 のレベルB に準拠した規格です。


表2・1 出力仕様の違い
PDF/A-1b PDF/A-2b
フォントはすべて埋め込まれなければならないフォントはすべて埋め込まれなければならない
XMP 準拠のメタデータを含んでいなければならないXMP 準拠のメタデータを含んでいなければならない
パスワードや印刷制限、変更制限などセキュリティを設定してはならないパスワードや印刷制限、変更制限などセキュリティを設定してはならない
LZW 圧縮してはならないLZW 圧縮してはならない
外部コンテンツを参照してはならない外部コンテンツを参照してはならない
JavaScript を含めてはならないJavaScript を含めてはならない
透明な画像を含んではならない透明な画像を含めてよい
ファイルを添付してはならないファイルを添付してもよい。ただし、PDF/A に準拠したファイルのみ可
JPEG2000 圧縮してはならないJPEG2000 圧縮してもよい
オプショナルコンテンツ(レイヤー)を含めてはならないオプショナルコンテンツ(レイヤー)を含めてもよい


PDFフォーム(「テキスト」「チェックボックス」「ラジオボタ ン」「リストボックス」「ドロップダウン(コンボボックス)」)のデータをFDFあるはXFDF形式ファイルへエクスポートします。

また、FDF/XFDF形式ファイルからPDFフォームへデータをインポートします。


※XFDF : 「ML Forms Data Format」の頭文字。ISO 19444-1 で規定された文書形式。


テキスト描画機能に文字装飾などの処理を追加しました。

矩形(=テキストボックス)内のテキストに対し、次のようの指定が可能です。

 太字・斜体

 フォントの種類、サイズ

 文字の輪郭色、塗りつぶし色(透明色の指定が可能)

 文字の透明度

 上付き文字、下付き文字(縦書きは非対応)

 下線、取り消し線

 テキストの折り返し

 文字と文字の間隔

 行と行の間隔

 化学式、イオン式


テキストボックスに対しては次の指定が可能です。

 横書き、縦書き

 輪郭線の色、背景色

 輪郭線がテキストを囲む大きさとなるよう変更するか否か


X.509形式の証明書を使用してセキュリティ設定を行います。

ひとつのPDFに対し複数の証明書ファイルを指定することができます。証明書ごとにセキュリティの権限設定が可能です。

暗号化されているファイルを読み込む場合、PKCS#12形式の証明書を使用します。


PDFページのコンテント上にあるエレメント(テキスト、画像、図形など)の情報を取得します。

次のような情報の取得が可能です。

 エレメントを囲む矩形座標

 直線などの開始位置と終了位置の座標

 色

 フォント情報


PDFファイル上のすべてのJavaScriptアクションを破棄します。最適化処理のオプションとして追加しました。


図形やテキストの描画にセパレーションカラーを指定できるようにしました。


ページコンテンツへの画像/PDF の追加と、指定エレメントの削除に対応することにより、画像の入れ替え処理を支援します。

Pattern の画像は、入れ替え対象とはなりません。


改訂5版にて、「Amazon Linux2」のX86アーキテクチャーに対応しました。


改訂6版にて、.NET6 対応のAPI を追加しました。API のインターフェースに変更はありません。


2–2–2 その他のおもな機能


複数のPDFファイルを結合してひとつのPDFとして保存します。注釈やフォーム、しおり、添付ファイルとともに結合するかどうかのオプションがあります。


ひとつのPDFファイルから指定のページを抽出し別のPDFとして保存します。


PDFファイルの各ページに、テキスト、画像ファイル、PDFファイル、色を透かしとして挿入します。マルチTIFFファイルやPDFファイルの場合は透かしにするページを指定することができます。

テキスト透かしでは、挿入角度設定がタイリング時にも適用されます。また、下線付きテキスト、複数行テキストの挿入が可能です。 *V7.0 NEW

画像・PDF透かしでは、任意の角度に回転して挿入できます。 *V7.0 NEW

PDF Tool API V7.0では、Adobe Acrobat©の「透かし」機能で編集可能な透かしを作成するオプションを追加しました。 *V7.0 NEW

PDF Tool APIにより挿入した透かしは、PDF Tool APIにより削除可能です。


PDFファイルに付けられている、パスワードによるセキュリティの情報を取得します。

新規のセキュリティ設定、すでに設定されているセキュリティ情報の変更、セキュリティを削除してセキュリティの付いていないPDFとしての保存ができます。40bit RC4 、128bit RC4、128bit AES、256bit AESに対応しています。

※ V7.0では、40bit RC4レベルのセキュリティを新規に設定する処理には対応していません。


PDFファイルに設定されている文書情報を取得、PDFファイルへの文書情報の設定ができます。任意の項目名を持つカスタムプロパティの設定ができます。


PDFファイルの任意のページを削除します。


PDFファイルの任意のページを回転します。


PDFファイルの任意のページの内容を拡大、縮小します。


指定された矩形内にあるテキスト、画像、パスを削除します。「削除」とは、非表示にするということではなく、PDFファイルからデータそのものを取り除きます。矩形内のどの要素(テキスト、画像、パス)を削除するかを指定するオプションもあります。

テキストは、指定矩形内の文字が削除されます。指定矩形の線上の文字も削除対象です。画像については、指定矩形内の画像データを部分削除します。線や四角形などのパスデータについては、パスデータ全体が矩形内に指定された場合に削除します。パスデータが指定矩形からはみ出している場合は削除されません。


PDFページコンテンツ上の画像をファイルに書き出します。出力画像形式は、bitmap、jpeg、png。画像の幅、高さ、PPI(Pixel Per Inch)が取得可能です。

オプションとして、変更を加えず抽出する機能、画像のマスクの種類を取得する機能があります *V7.0 NEW


PDFページコンテンツ上のテキストを取得います。矩形を指定した場合は、矩形内のテキストを取得します。

抽出時に、テキストを座標でソートするオプションがあります。 *V7.0 NEW


PDFページコンテンツ上のテキストを対象に検索を行います。複数キーワード検索に対応しています。検索結果場所の矩形取得、検索結果にハイライト注釈を付与、検索結果場所のデータ削除、以上を行うAPIを用意しました。


フォント情報が埋め込まれていないフォントに対し、フォント情報を埋め込み状態に変更します。ただし、埋め込み対象のフォント情報は、動作環境に存在していなければなりません。


しおり情報の取得、既存のしおりの編集や新規しおりの追加、しおりの削除が可能です。


PDFファイルの開き方情報の取得と設定が可能です。


PDFファイルに対して添付されている添付ファイル情報を取得します。

添付ファイルの追加、削除、添付ファイルの書き出しが可能です。


テキスト、スタンプ、ファイル添付、リンク、ハイライトの各注釈は、PDF Tool API V7.0で新規に作成することができます。


PDFファイル上にある注釈の情報取得、編集、削除ができます。


任意の画像ファイルやPDFファイルからスタンプ注釈を作成します。


指定の期間、あるいは指定の場所で表示された場合にのみ閲覧可能にする制限設定をします。ページごとに閲覧制限が設定可能です。場所(フォルダパス)を指定する場合、フォルダパスの末尾や途中にワイルドカードが使用できます。

Acrobat Java Scriptを利用して制限制御を行います。


PDFのページ上にテキストを挿入します。横書き、縦書きができます。


PDFのページ上に直線、矩形、角丸矩形、円を描画します。


ページをフォームとして描画します。ページ割付処理に応用できます。


画像ファイルをPDFページ上の指定矩形内に描画します。矩形に合わせて画像を拡大・縮小して描画することができます。

任意の角度に回転して描画することも可能です。 *V7.0 NEW


画像ファイルからPDFのページを生成します。


リニアライズ保存をするかどうかの指定ができます。


PDFファイル内の画像データに対し、ダウンサンプリングとJPEG圧縮を行います。ダウンサンプリングの種類は、「バイリニア」「バイキュービック」「ニアレストネイバー」の3種類です。指定された解像度以上の解像度を持つ画像データに対し指定の解像度となるようダウンサンプリングが行われます。ダウンサンプリング率の下限値を設定することで、必要以上に画像を小さくして劣化が発生しないようにすることができます。

JPEG圧縮はダウンサンプリング処理と同時に行われます。また、JPEG圧縮処理のみ行うことも可能です。


次の処理を行うことで、PDFファイルを最適化します。

 オープンアクションの削除

 しおりの削除

 注釈・フォームの削除

 アーティクルの削除

 サムネイルの削除

 フォントの統合


マークアップ注釈(テキスト注釈、スタンプ注釈、図形注釈など)のFDFファイルへの書き出しと、PDFファイルに対してFDFファイルを取り込むことができます。


PDFファイルが持つ様々な情報を取得できます。

文書情報

総ページ数

ページサイズ

開き方

添付ファイル

セキュリティ情報

Web表示用に最適化されているか否か

添付ファイルを持っているか否か

表示矩形の取得

注釈があるか否か

サムネイルがあるか否か

注釈の種類(全種類を判別可能)

マークアップ注釈か否か

署名付きか否か

PDF/A、PDF/Xであるか否か

ページモード、ページレイアウトの有無判定