PDF出力
Antenna House Formatter V7.4 では、PDF出力機能が標準装備されています。 出力できるPDFのバージョンは以下のとおりです。
- PDF1.3
PDF1.3は、Adobe Acrobat(Reader)4.0以降で閲覧することができます。 - PDF1.4
PDF1.4は、Adobe Acrobat(Reader)5.0以降で閲覧することができます。 - PDF1.5
PDF1.5は、Adobe Acrobat(Reader)6.0以降で閲覧することができます。 - PDF1.6
PDF1.6は、Adobe Acrobat(Reader)7.0以降で閲覧することができます。 - PDF1.7
PDF1.7は、Adobe Acrobat(Reader)8.0以降で閲覧することができます。 - PDF2.0
Antenna House Formatter V7.4 では、ISO 32000-2:2017 に準拠した PDF2.0 を出力することができます。 - PDF/X
Antenna House Formatter V7.4 では、PDF/X を出力することができます。 - PDF/A
Antenna House Formatter V7.4 では、PDF/A を出力することができます。 - PDF/UA
Antenna House Formatter V7.4 では、PDF/UA を出力することができます。
Antenna House Formatter V7.4 が出力するPDFには、次のような特徴があります。
- 元文書内の拡張プロパティにより、PDFのしおり(bookmark)、リンクを作成することができます。 ☞ しおりとリンク
- ひとつのFOから、PDFを多分冊出力することができます。 ☞ 多分冊PDF出力
- 元文書内の拡張プロパティにより、PDFの「タイトル」、「サブタイトル」、「作成者」、「キーワード」などのメタ情報や、文書を開いたときの表示方法やページレイアウトを設定することができます。 ☞ 文書情報
- セキュリティ設定時の暗号化は 40-bit RC4、128-bit RC4、128-bit AES、256-bit AES が利用できます。 PDFのバージョンによって利用できる暗号化が違います。 ☞ PDF出力の設定、 PDFオプション設定ダイアログ
- タグ付きPDFを出力することができます。
- リニアライズドPDFを出力することができます。
PDF出力に関する設定内容の詳細については、PDF出力の設定を参照してください。
PDF/X
PDF/Xは、ISO 15930 で規定されており、印刷用のデータ交換を目的としたPDFのサブセットです。 基本的には、印刷するためのすべての情報がPDFファイル内に含まれています。 Antenna House Formatter V7.4 は、以下のバージョンのPDF/Xを出力することができます。
- PDF/X-1a:2001 (ISO 15930-1:2001)
PDF1.3ベースの仕様です。 - PDF/X-3:2002 (ISO 15930-3:2002)
PDF1.3ベースの仕様です。 - PDF/X-1a:2003 (ISO 15930-4:2003)
PDF1.4ベースの仕様で、PDF/X-3:2003のサブセットです。 - PDF/X-2:2003 (ISO 15930-5:2003)
PDF1.4ベースの仕様で、PDF/X-3:2003のスーパーセットです。 - PDF/X-3:2003 (ISO 15930-6:2003)
PDF1.4ベースの仕様です。 - PDF/X-4:2010, PDF/X-4p:2010 (ISO 15930-7:2010)
PDF1.6ベースの仕様です。
PDF/Xの大きな特徴は以下が挙げられます。
PDF/ | PDF/ | PDF/ | PDF/ | PDF/ | |
---|---|---|---|---|---|
フォントはすべて埋め込まれなければならない | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
出力インテントが指定されていなければならない | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
出力インテントとして指定されたICCプロファイルを埋め込まなければならない | × | × | × | ○ | × |
CMYK、スポットカラーをサポートする | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
グレイスケールをサポートする | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
RGBをサポートする | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
透明をサポートする | × | × | × | ○ | ○ |
パスワードの設定や、印刷制限、変更制限などを行ってよい | × | × | × | × | × |
リンクや注釈などを含めてよい | × | × | × | × | × |
しおり等のアクションを含む要素を含めてよい | × | × | × | × | × |
PDF/X では、すべてのフォントは埋め込まれなければなりません。埋め込みが許可されていないフォントを使用している場合、PDF/Xを生成することはできません。
フォントの埋め込みなど、多くの情報はユーザの設定を無視して適切なものが採用されます。 例えば、出力するPDFのバージョンがPDF/Xに設定されているとき、PDFオプション設定ダイアログ の フォント埋め込み は淡色表示されます。
PDF/X として不適合な画像が指定されたときは、PDF出力の設定の error-on-pdfx-fault によって処理が異なります。error-on-pdfx-fault を参照してください。
PDF/X では、出力インテントが指定されていなければなりません。 出力インテントは、ICCプロファイルを直接指定する方法と、出力条件識別子を指定する方法があります。
出力インテントを、ICCプロファイルによって指定する場合は、<fo:color-profile> の src プロパティにICCプロファイルのURLを指定します。 color-profile-name プロパティは、省略するか、"#CMYK"、"#GrayScale" または "#RGB" を指定します。省略したときは "#CMYK" が指定されているとみなされます。例えば、次のように指定します。
HTMLでは、<meta name="color-profile"> を利用して次のように指定できます。
PDF/X では、指定できる出力インテントはひとつだけです。複数の出力インテントが指定された場合は、どれが採用されるかは不定です。
PDF/X では、埋め込むことのできる出力インテントのICCプロファイルは、そのデバイスクラスが "prtr" であるものだけです。"prtr" 以外のICCプロファイルは利用できません。"prtr" 以外のICCプロファイルを指定すると、次のようなエラーが報告されるでしょう。
PDF/X-1~3では、<fo:color-profile> の src プロパティで、出力条件識別子を指定することもできます。 指定は、URIのフラグメントの形式で行います。
先頭文字は # でなければなりません。その後、パラメータを & で区切って羅列します。 各パラメータは、名前=値 の形式です。 各パラメータの名前は、(PDF/X の OutputIntent辞書の項目に対応し)以下のとおりです。
- Output
Condition Identifier
出力条件識別子を指定します。 ICCプロファイルのURLを指定した場合のデフォルトは Custom です。 - Output
Condition
出力条件を指定します。(省略可) - Registry
Name
出力条件識別子の登録機関のURIを指定します。 OutputConditionIdentifier を指定してこれを省略した場合のデフォルトは http://www.color.org です。 - Info
追加情報を指定します。(省略可)
ICCプロファイルに続けてこのフラグメントパラメータの形式を記述することで、プロファイルの情報を与えることもできます。axf:base-uri によるベースURIを指定することもできます。
出力インテントを出力条件識別子で指定した場合は、その出力インテントはPDF/Xに埋め込みません。ICCプロファイルで指定した場合は、PDF/XにそのICCプロファイルを埋め込みます。
標準出力インテントは、次で定義されている標準的なICCプロファイルです。
☞ | CMYK Characterization Data |
---|
出力条件識別子にこれらのいずれかを指定することができます。 Antenna House Formatter V7.4 で指定できる標準出力インテントは以下のとおりで、いずれもCMYK用です。
|
|
|
|
|
|
URLで指定されたICCプロファイルは、その内容からそれが標準出力インテントかどうかが判断されます。標準出力インテントがURLで指定された場合、PDF/X-1~3 では ICCプロファイルの埋め込みは必須ではないため、埋め込むか埋め込まないかは、PDF出力の設定の embed-std-output-intent により選択が可能です。 ただし、PDF/X-4ではこの指定は無視され、常に埋め込みます。 PDF/X-1~3 では、出力条件識別子によって指定された場合は、embed-std-output-intent の設定にかかわらず、埋め込まれません。
FOに出力インテントの指定がない場合は、PDF出力の設定の default-output-intent が採用されます。
ICCプロファイルは、Adobeから標準的なものをダウンロードすることができます。
☞ | Adobe ICC profiles |
---|
ここからダウンロードできるプロファイルは、Adobe Acrobat などにバンドルされ、すでにあなたのシステムにインストールされているかも知れません。 Windows であれば、%windir%\system32\spool\drivers\color ディレクトリなどを探してみてください。
PDF/A
PDF/Aは ISO 19005 で規定されており、電子文書の長期保存を目的とした仕様です。 Antenna House Formatter V7.4 は、以下のバージョンのPDF/Aを出力することができます。
- PDF/A-1a:2005
ISO 19005-1:2005 に完全準拠したPDF1.4ベースの仕様です。表示できることが保証され、さらに論理的な順序でテキストが抽出できることが保証されます。 - PDF/A-1b:2005
ISO 19005-1:2005 に一部準拠したPDF1.4ベースの仕様です。表示できることが保証されます。 - PDF/A-2a:2011
ISO 19005-2:2011 に完全準拠した ISO 32000-1ベースの仕様です。表示できることが保証され、さらに論理的な順序でテキストが抽出できることが保証されます。 - PDF/A-2b:2011
ISO 19005-2:2011 に一部準拠した ISO 32000-1ベースの仕様です。表示できることが保証されます。 - PDF/A-2u:2011
ISO 19005-2:2011 に一部準拠した ISO 32000-1ベースの仕様です。表示できることが保証され、さらにPDF内のテキストのUnicode値が取得できることが保証されます。 - PDF/A-3a:2012
ISO 19005-3:2012 に完全準拠した ISO 32000-1ベースの仕様です。表示できることが保証され、さらに論理的な順序でテキストが抽出できることが保証されます。 - PDF/A-3b:2012
ISO 19005-3:2012 に一部準拠した ISO 32000-1ベースの仕様です。表示できることが保証されます。 - PDF/A-3u:2012
ISO 19005-3:2012 に一部準拠した ISO 32000-1ベースの仕様です。表示できることが保証され、さらにPDF内のテキストのUnicode値が取得できることが保証されます。
PDF/Aの大きな特徴は以下が挙げられます。
PDF/ | PDF/ | PDF/ | PDF/ | PDF/ | PDF/ | PDF/ | PDF/ | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
フォントはすべて埋め込まれなければならない | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
ICCプロファイルは埋め込まなければならない | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
タグ付けされていなければならない | ○ | × | ○ | × | × | ○ | × | × |
XMP準拠のメタデータを含んでいなければならない | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
暗号化してよい | × | × | × | × | × | × | × | × |
LZW圧縮してよい | × | × | × | × | × | × | × | × |
透明な画像を含めてよい | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
外部コンテンツを参照してよい | × | × | × | × | × | × | × | × |
JavaScriptを含めてよい | × | × | × | × | × | × | × | × |
すべてのテキストはUnicodeに変換できなければならない | ○ | × | ○ | × | ○ | ○ | × | ○ |
PDF/A を添付できる | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
PDF/A 以外の任意のファイルも添付できる | × | × | × | × | × | ○ | ○ | ○ |
PDF/Aでは、PDF/Xと同様に、すべてのフォントは埋め込まれなければなりません。埋め込みが許可されていないフォントを使用している場合、PDF/Aを生成することはできません。また、PDF/Aでは、ICCプロファイルも埋め込まなければなりません。したがって、出力インテントの指定はICCプロファイルのURL指定のみが有効となります。PDF/Aでは非デバイス依存のカラースペースを用いるか、出力インテントにICCプロファイルを設定する必要があります。白紙のPDFを出力する等まれな場合を除き、Antenna House Formatter V7.4で妥当なPDF/Aを出力するには、出力インテントの設定が必要になります。
フォントの埋め込みなど、多くの情報はユーザの設定を無視して適切なものが採用されます。 PDF/A-1a、PDF/A-2a、PDF/A-3a では、強制的にタグ付けを行います。タグ付きPDFを参照してください。
XMPメタデータは、PDFの文書情報から自動的に生成されますが、<axf:document-info name="xmp"> で独自のXMPを指定することもできます。
Antenna House Formatter V7.4ではファイル注釈としてPDFにファイルを添付できます。ファイルを注釈として添付するには axf:annotation-file-attachment を使って行います。 上の表では[○]ですが、PDF/A にファイルを添付するときは以下の制約があります。PDF/A 以外ではこのような制約はありません。
- PDF/A-1 には、どんなファイルも注釈として添付することはできません。
- PDF/A-2 には、PDF/A-1 または PDF/A-2 のファイルだけを注釈として添付することができます。そのとき、添付するPDFのバージョンは、出力するPDFのバージョン以下でなければなりません。
- PDF/A-3 には、PDF/A を含め任意のファイルを注釈として添付することができます。
フォームは、PDFにフォントを埋め込めないため、PDF/Aを生成することはできません。ただし、以下のフォームにおいてのみ、フォームがあってもPDF/Aを生成することができます。
- axf:field-default-text が指定されていないテキストフィールド
- axf:field-button-face が指定されていないプッシュボタンフィールド
- axf:field-checked-style の値が "circle" のラジオボタンフィールド
PDF/UA
PDF/UAは、ISO 14289-1 で規定されており、ISO 32000-1仕様に基づいた PDF のアクセシビリティ向上を目的とした仕様です。Antenna House Formatter V7.4 は、以下のバージョンのPDF/UAを出力することができます。
- PDF/UA-1:2014 (ISO 14289-1:2014)
PDF/UAの大きな特徴は以下が挙げられます。
- コンテンツは論理的な読み順にタグ付けされなければならない。
- 意味のある画像や注釈、数式には代替テキストを含めなければならない。 代替テキストの指定 を参照してください。
- アクセシビリティを禁止しない暗号化を行わなければならない。
- しおりを含めることが推奨される。
- 注釈やフォームやリンク、マルチメディアを含めてもよい。
- 文書の言語を指定しなければならない。
- フォントはすべて埋め込まれなければならない。
タグ付きPDF
通常のPDFは、その内容に文書構造を持ちません。例えば、文章は行ごとに千切れています。段組で、左の段の第1行目に右の段の第1行目が続いていたりします。そのため、視覚障害者などが、何らかのリーダを用いてPDFを読もうとしても、正しい順序で文章を読むことは非常に困難です。 これは、PDFからのテキスト抽出などでも同様です。タグ付きPDFは、PDF1.4以降で有効です。
タグ付きPDFは、PDF中に埋め込まれたタグによってPDF文書を構造化します。 文書が構造化されることによって、PDFは再利用可能な情報となります。このため、タグ付きPDFはアクセシブルなPDF作成に欠くことができません。 PDFのタグ付きPDFの仕様は次を参考にしてください。
- ISO 32000-1:2008 14.8 Tagged PDF
- ISO 32000-2:2017 14.8 Tagged PDF
タグ付きPDFは、PDFアクセシビリティの重要な要素です。アクセシブルなPDFのためには、タグ付きPDFに加えていくつかの要件があり、全体としては、PDF/UAで規定されています。
Antenna House Formatter V7.4 は、各FO要素に対して次のようなタグ(構造要素)を埋め込みます。なお、region-body 以外の領域に割り当てられたFO要素は Artifact としてタグ付けされます。
FO要素 | PDF要素 | コメント |
---|---|---|
fo:root | Document | |
fo:page-sequence | Part | |
fo:flow | Sect または Div | PDF2.0以降では Div |
fo:block | P または Div | inline-level の内容を持つ場合 P、それ以外は Div |
fo:block-container | Div または Sect・Aside | absolute-position="fixed" または "absolute" の場合は Sect、それ以外は Div。PDF2.0以降では Sect ではなく Aside となります。 |
fo:inline | Span または Reference | <fo:footnote>の子の場合は Reference、それ以外は Span。PDF2.0以降では <fo:footnote> の子も Span となります。 |
fo:inline-container | Span | |
fo:leader | Span | |
fo:page-number | Span | |
fo:page-number-citation | Span | |
fo:page-number-citation-last | Span | |
fo:scaling-value-citation | Span | |
fo:index-page-citation-list | Span | |
fo:bidi-override | Span | |
fo:footnote-body | Note または FENote | 親子関係は <fo:footnote> と同じになります。兄弟関係は <fo:footnote> と同じにはなりません。 |
fo:float | Sect または Aside | |
fo:external-graphic | Figure または Formula | MathML のとき Formula、それ以外は Figure |
fo:instream-foreign-object | Figure または Formula | MathML のとき Formula、それ以外は Figure |
fo:basic-link | Link | |
fo:list-block | L | |
fo:list-item | LI | |
fo:list-item-label | Lbl | |
fo:list-item-body | LBody | |
fo:table または fo:table-and-caption | Table | fo:table が fo:table-and-caption の子のとき fo:tableの axf:pdftag は無視されます。 |
fo:table-caption | Caption | |
fo:table-header | THead | |
fo:table-footer | TFoot | |
fo:table-body | TBody | |
fo:table-row | TR | |
fo:table-cell | TH または TD | <fo:table-header> 中のとき TH、それ以外は TD |
axf:form-field | Form | |
axf:ruby | Ruby | |
axf:ruby-base | RB | |
axf:ruby-text | RT |
Antenna House Formatter V7.4 は、各HTML要素に対して次のようなタグ(構造要素)を埋め込みます。
HTML要素 | PDF要素 | コメント |
---|---|---|
html | Document | |
div | Div | |
h1 | H1 | |
h2 | H2 | |
h3 | H3 | |
h4 | H4 | |
h5 | H5 | |
h6 | H6 | |
p | P | |
ul | L | |
ol | L | |
li | LI | |
li::marker | Lbl | リストのラベル |
dl | L | |
dt | Lbl | |
dd | LBody | |
blockquote | BlockQuote または P | PDF2.0以降では P |
caption | Caption | |
table | Table | |
tr | TR | |
td | TD | |
th | TH | |
thead | THead | |
tfoot | TFoot | |
tbody | TBody | |
ruby | Ruby | |
rb | RB | |
rt | RT | |
span | Span | |
img | Figure | |
a[href] | Link | |
section | Sect または Part | PDF2.0以降では Part |
article | Art または ASide | PDF2.0以降では ASide |
code | Code または P | PDF2.0以降では P |
その他のブロック要素 | Div | |
その他のインライン要素 | Span |
Antenna House Formatter V7.4 が次のように自動的にタグ(構造要素)を埋め込む場合があります。
PDF要素 | コメント |
---|---|
Span | 表示用に加工した文字列の加工前の文字列を ActualText として設定するために使用されます。加工前の文字列とは、例えば、ハイフネーションされる前の文字列や合字などのグリフ置換が起こる前の文字列です。 |
構造要素でないタグがいくらか存在します。
PDF要素 | コメント |
---|---|
Artifact | ページの本文から区別される内容に付けられます。 改ページのたびに繰り返し出力される <fo:static-content> や、<fo:table-header>(tableの最初のもの以外)、<fo:table-footer>(tableの最後のもの以外)が、Artifact となります。 axf:pdftag="Artifact" と指定したときも同様です。 |
Reversed | アラビア語など、右から左に書くテキストに付けられます。 |
タグ付きPDFを作成するには、PDFオプション設定ダイアログでタグ付きPDFをチェックしたり、コマンドラインインターフェイスで -tpdf を指定したりします。
拡張プロパティの axf:pdftag で、PDF に出力するタグ名に任意のタグ名が指定できます。
アラビア文字やデヴァナガリ文字などの複雑なスクリプトでは、元文字列は複雑にグリフに変換されてPDFへ出力されます。そのグリフは元文字列のUnicodeとは一対一対応しないので、PDFから正しい元文字列をコピーすることはできません。Artifact 内の文字列を除きタグ付きPDFにすれば、元文字列をコピーすることができます。 Antenna House Formatter V7.4 がサポートしているPDF規格では Artifact に ActualText を設定可能な仕様はありませんが、add-actualtext-to-artifact を設定するとグリフと元文字列のUnicodeが一体一対応してない場合に Artifact に ActualText を設定するようになり、対応している PDF Reader では元の文字列がコピーできるようになります。
Antenna House Formatter V7.4 では、Role Map を指定することができます。Role Map とはタグの要素名のエイリアスを設定する機能です。Antenna House Formatter V7.4 では、オプション設定ファイルの tag-role-map を設定することで標準のタグに準拠しながらも可読性の高いタグ付けが可能になります。
Dr. のような略字に対して axf:expansion-text を適用することで略字の展開後のテキストを設定できます。
Adobe Acrobat でのアクセシビリティの完全チェックでの各チェック項目(Acrobat 7.0 の場合)に対して、Antenna House Formatter V7.4 は、次のような処理をします。
- 代替テキストの指定
画像の代替テキストは、拡張プロパティ axf:alttext で指定できます。
axf:alttext の指定がないときや空のときは、内容テキストを代替テキストとみなします。ただし、<fo:external-graphic>などの空要素では内容テキストは空です。内容テキストが空でHTMLのときは、titleプロパティの値を代替テキストとみなします。titleプロパティの値も空のときやHTMLでないときは、roleプロパティの値を代替テキストとみなします。ただし、これはroleプロパティの本来の使い方ではないので推奨しません。roleプロパティの値も空のときは fallback-alttext の値が使用されます。 Antenna House Formatter V7.4 は、fallback-alttext のデフォルト値にひとつの空白文字(U+0020)を設定しています。これは、代替テキストが不要な画像であっても、代替テキストが指定されていないといって、アクセシビリティチェックでエラーが出るのを防ぐためです。有効な代替テキストを与えることは、FO/HTML作成者の責任です。
画像に代替テキストが与えられているかどうかを確認するには、Acrobat で、「ナビゲーションタブ」の「タグ」を表示して、<Figure> 要素のプロパティを開いて「代替テキスト」の項目を見ます。
リンクの代替テキストは、拡張プロパティ axf:annotation-contents で指定できます。axf:annotation-contents の指定がないときや空のときは、axf:alttext を代替テキストとします。axf:alttext の指定がないときや空のときは、画像の代替テキストと同様に処理されます。
- テキスト言語の指定
FO に言語指定のプロパティ(language, country, xml:lang)を与えれば、それがタグ付きPDFの構造要素の言語になります。例えば、
として出力したタグ付きPDFを、Acrobat でタグの表示をして、この段落の <P> 要素のプロパティを見ると言語「日本語」と表示されます。
- 適切な文字エンコーディングの指定
テキストはUnicodeで出力されているので問題ありません。
- 文書構造に含まれるすべてのコンテンツ
上のタグの一覧表を参照してください。
- すべての説明付きフォームフィールド
axf:field-description拡張プロパティの指定があればそのテキストを、なければフォーム名を割り当てます。
- 箇条書きとテーブル構造
FOのリスト <fo:list-block> が、タグ付きPDFの箇条書きの構造に、テーブル <fo:table> がテーブル構造に対応します。
- タグの順序が論理構造の順序と一致する
Antenna House Formatter V7.4 は、正しい順序でタグを出力します。
タグ付きPDFへのタグ付きPDFの埋め込みや、PDFのバージョンによる制約については、PDFの埋め込みを参照してください。
注意: | PDF2.0以降ではタグの親子関係に制約が加わりましたが Antenna House Formatter V7.4 は制約に違反したタグ付けを行う場合があります。出力したPDFが制約に違反しているかどうかは check-tag-relationship を有効にすることで確認できます。 |
---|
リニアライズドPDF
リニアライズドPDF(Linearized PDF)にすることで、生成されたPDFのWebでの表示は高速となります。リニアライズドPDFの特徴は以下が挙げられます。
- PDFを開くとき、最初のページを可能な限りすばやく開く。
- ユーザが開いたページから別のページを要求したとき、可能な限りすばやくそのページを開く。
- 文書を遅い通信回線を使って配布するとき、ページを少しづつ順に表示できるようにする。
- リンクを辿るときに、すべてのページを受信して表示しなくてもよいようにする。
Web表示用に最適化したPDFとは、このリニアライズドPDFのことを指します。
注意: | 一部のビューアで、ファイルサイズが 4KB以下のリニアライズドPDFを、最適化されていないと判定することが確認されています。 |
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XMP
XMP(Extensible Metadata Platform)はメタデータを表現するXML仕様で、ISO 16684 で規定されています。 PDF1.4以降のPDFには、XMPが含まれています。 XMPは、<axf:document-info> で指定された情報から生成されます。 また、任意のXMPを <axf:document-info xmp> で指定できますが、その内容は矛盾がないように調整されます。以下の内容が調整されます。
- PDF/X、PDF/A、PDF/UA のときはそれぞれに対応するメタ情報が追加されます。指定されたXMP中の矛盾する情報は削除されます。
- <pdf:Producer>、<xmp:CreatorTool> には、Antenna House Formatter V7.4 のものが設定されます。
- <xmp:CreateDate>、<xmp:ModifyDate>、<xmp:MetadataDate> には、PDF生成日時が設定されます。
- <dc:format> に application/pdf が設定されます。
- <axf:document-info document-title> が指定されているときは、<dc:title> にそれが設定されます。指定されたXMPに <dc:title> が含まれず、<axf:document-info document-title> も指定されてないとき、PDF/X では適当なタイトルが設定されます。
- <axf:document-info subject> が指定されているときは、<dc:description> にそれが設定されます。
- <axf:document-info author> が指定されているときは、<dc:creator> にそれが設定されます。
- <axf:document-info author-title> が指定されているときは、<photoshop:AuthorsPosition> にそれが設定されます。
- <axf:document-info description-writer> が指定されているときは、<photoshop:CaptionWriter> にそれが設定されます。
- <axf:document-info keywords> が指定されているときは、<pdf:Keywords> にそれが設定されます。
- <axf:document-info copyright-notice> が指定されているときは、<dc:rights> にそれが設定されます。
- <axf:document-info copyright-info-url> が指定されているときは、<xmpRights:WebStatement> にそれが設定されます。
- <axf:document-info copyright-status> がUnknown以外に指定されているときは、<xmpRights:Marked> にそれが設定されます。
- PDF/X で、指定されたXMPに <xmpMM:DocumentID> が含まれていないときは、適当なUUIDが追加されます。
- PDF/X で、指定されたXMPに <xmpMM:VersionID> が含まれていないときは、1 として追加されます。
- PDF/X で、指定されたXMPに <xmpMM:RenditionClass> が含まれていないときは、default として追加されます。
- PDF/A 以外で、カスタムプロパティを追加します。
ここに現れるnamespaceは以下のとおりです。
- xmp : http://ns.adobe.com/xap/1.0/
- xmpMM : http://ns.adobe.com/xap/1.0/mm/
- dc : http://purl.org/dc/elements/1.1/
- pdf : http://ns.adobe.com/pdf/1.3/
- photoshop : http://ns.adobe.com/photoshop/1.0/
上記以外の調整はしません。指定されたXMP中に不明なnamespaceの要素が含まれていても、削除されません。PDF/A などでそのような要素が含まれると準拠違反となることがあります。
PDFの埋め込み
PDF中に、他のPDFを埋め込むことができます。 また、フォームによる記入欄のあるPDFを埋め込むこともできます。
これは、<fo:external-graphic> を用いて、画像を扱うように行います。 グラフィクスを参照してください。
このように、埋め込みたいページ番号をURI中に指定します。 ページの指定は、#page=<FirstPage>-<LastPage> の形式で行います。 ページ番号の指定がない場合は1ページ目が埋め込まれます。
- embedded.pdf#page=3-5
- 3ページ~5ページ
- embedded.pdf#page=3-
- 3ページ~最後のページ
- embedded.pdf#page=3
- 3ページのみ
- embedded.pdf
- 1ページのみ
サイズ指定がない場合は、埋め込まれるPDFのページサイズで埋め込みますが、拡大縮小したいときは、次のように content-width や content-height を指定すればよいでしょう。
複数のページを連続して埋め込むことができます。
上のような指定で、3ページ目から5ページ目までを連続して埋め込みます。すべてのページを埋め込みたいときは、次のようにします。
注意: | 埋め込まれるPDFのページサイズが比較的大きいとき、埋め込まれるPDFのページがオーバーフローすることがあります。それは、<fo:external-graphic> がインライン要素なので、widows/orphans プロパティの影響を受けるためです。ブロックに widows="1" orphans="1" を指定するとよいでしょう。 |
---|
dataスキーム(RFC2397)を利用してPDFを指定するとき、ページ番号は次のようにメディアタイプのパラメータとして指定します。
また、PDFを背景として埋め込むことも可能です。これは、帳票雛形を背景として、その上に内容データだけを組版するようなときに利用できます。 背景としてPDFを指定するときは、次のように axf:background-repeat="no-repeat" を <fo:simple-page-master> または <fo:page-sequence> に指定します。
axf:background-repeat="repeat" を指定することはできません。 CSSでは、@page に背景を指定します。
PDFを背景に埋め込むとき、ある1ページだけではなく、複数ページを連続的に埋め込むことが可能です。次のように axf:background-repeat="paginate" を指定します。
この例では、3ページ目から5ページ目が背景として埋め込まれます。 埋め込まれるPDFのページ数より <fo:flow> の内容から生成されるページ数が少ない場合は、埋め込まれるPDFのページ数すべてが出力されるようにページが追加されます。 したがって、<fo:flow> の内容は空でも構いません。<fo:flow> の内容から生成されるページ数の方が多い場合は、埋め込まれるPDFのページ数を超えたページの背景画像はなしとなります。 ページの指定は、#page=<FirstPage>-<LastPage> の形式で行います。axf:background-repeat="paginate" が指定されていないときは、-<LastPage> 部分は無視されます。
- background.pdf#page=3-5
- 3ページ~5ページ
- background.pdf#page=3-
- 3ページ~最後のページ
- background.pdf#page=3
- 3ページのみ
- background.pdf
- 全ページ
注意: | axf:background-repeat="paginate" が指定されていて、ブランクページなどにも背景画像が指定されているとき、そのブランクページが採用された時点でPDFの埋め込みは終了します。 |
---|
<fo:page-sequence> と <fo:simple-page-master> の両方に axf:background-image や axf:background-repeat が指定されている場合は、<fo:simple-page-master> が優先します。<fo:simple-page-master> への指定では、<fo:region-*> への埋め込みも可能となります。
埋め込まれるPDFのバージョンは、出力するPDFのバージョン以下でなければなりません。 PDF/Xなどとの許される組み合わせは、次の表を参照してください。 表にない組み合わせは許されない組み合わせです。
埋め込まれるPDF | PDF1.3~1.7 | PDF2.0 | PDF/ | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1a:2001 | 3:2002 | 1a:2003 | 2:2003 | 3:2003 | 4:2010 | 4p:2010 | ||||
出力するPDF | PDF1.3~1.7 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
PDF2.0 | [注] | ○ | ||||||||
PDF/ | ○ | |||||||||
PDF/ | ○ | ○ | ||||||||
PDF/ | ○ | ○ | ||||||||
PDF/ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
PDF/ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
PDF/ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
PDF/ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
埋め込まれるPDF | PDF/ | PDF/ | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1a:2005 | 1b:2005 | 2a:2011 | 2b:2011 | 2u:2011 | 3a:2012 | 3b:2012 | 3u:2012 | 1:2014 | ||
出力するPDF | PDF1.3~1.7 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
PDF/ | ||||||||||
PDF/ | ○ | ○ | ||||||||
PDF/ | ||||||||||
PDF/ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
PDF/ | ○ | ○ | ○ | |||||||
PDF/ | ||||||||||
PDF/ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
PDF/ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
PDF/ |
PDF を埋め込むとき、上の表で[○]であっても、以下の制限があります。
- 埋め込まれるPDFのバージョンが出力するPDFのバージョンより大きいときはエラーとなります。
- PDF/A へ PDF/A を埋め込む場合、OutputIntentに互換性がないときはエラーとなります。
- 埋め込まれるPDFにあるしおりは無視されます。
-
埋め込まれるPDFにある注釈は、埋め込む注釈の種類をPDF出力の設定の import-annotation-types で指定しておくことができます。また、GUIの PDFオプション設定ダイアログ の その他 ページでも指定することができます。指定されていない注釈は無視されます。
注意: 注釈のあるページを異なる位置に複数回埋め込む場合、注釈の位置は保証されません。 - 埋め込まれるPDFの internal-destination などで指定されたIDは削除されます。
- 埋め込まれるPDFの内部リンクとして axf:destination-type で FitH、FitV などが指定されている場合は、インポート先の用紙幅に拡縮されて表示されます。
- 埋め込まれるPDFにある画像は、画像処理(圧縮や色変換など)の対象外です。
- タグ付きPDFにタグ付きPDFを埋め込むには、PDF出力の設定で import-tagged-pdf="true" を指定してください。これは、GUI の PDFオプション設定ダイアログ の バージョン ページでも指定できます。タグの付いていないPDFは、常に埋め込むことができます。
注意: タグ付きPDFにタグ付きPDFを埋め込んだとき、埋め込まれたPDF中のタグの整合性は保証されません。 - 埋め込まれるPDFのページに OutputIntent が指定されていても無視されます。
- 埋め込まれるPDFの画像に地図位置情報が添付されている場合、Antenna House Formatter V7.4 は Form XObject の中に画像を配置するのでPDFビューアによっては地図位置情報が表示されない可能性があります。
- 埋め込まれるPDFにファイル注釈以外の機能でファイルが添付されていた場合、PDFの出力結果の妥当性は保証されません。
[注]: PDF2.0にPDF1.Xを埋め込むことは推奨されません。埋め込みたい場合は、allow-embedding-lower-versions="true"を指定してください。
フォント出力
Type 1 フォント(Adobe標準の欧文基本14フォントを含む)、TrueTypeフォント(TrueTypeアウトライン形式のOpenTypeフォントを含む)、OpenTypeフォント(PostScriptアウトライン)、WOFF(Web Open Font Format)、WOFF2、Macintosh TrueType フォントデータフォークスーツケース をサポートします。その他の形式のフォントはサポートされません。 詳細は、「フォント」を参照してください。
Antenna House Formatter V7.4 では使用するフォントが実行環境にインストールされている必要があります。Windows版でのフォントのインストール方法については、Windowsのヘルプ、あるいはフォントに添付される説明書などを参照してください。 Windows版で、フォントフォルダ以外に置いたフォントをPDFへ出力することができます。そのときは、フォント構築ファイルによる指定が必要です。
注意: | 透過のある画像を含むPDFを Adobe Acrobat または Reader で表示すると、文字が若干太く表示されることがあります。これは、Adobe Acrobat または Reader の既知の問題です。 |
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文字セット・エンコーディング
サポートされる文字セットは以下のものです。
- Adobe 標準ラテン文字セット
- Symbol 文字セット
- ZapfDingbats 文字セット
- 日本語文字セット(Adobe-Japan1-Supplement2)
- 简体中国語文字セット(Adobe-GB1-Supplement2)
- 繁體中国語文字セット(Adobe-CNS1-Supplement0)
- 韓国語文字セット(Adobe-Korea1-Supplement1)
Antenna House Formatter V7.4 の内部処理はすべて Unicode で行われます。中国語、日本語、韓国語(CJK) の文字の場合、Antenna House Formatter V7.4 が出力するPDFは、この Unicode を、それぞれ以下のCMapを使用して、CJK各文字セット内のグリフへ割り当てています。
- 日本語 : UniJIS-UCS2-H(V)、UniJIS-UCS2-HW-H(V)
- 简体中国語 : UniGB-UCS2-H(V)
- 繁體中国語文字セット(Adobe-CNS1-Supplement0)
- 韓国語文字セット(Adobe-Korea1-Supplement1)
上記の文字セットに含まれない文字が FO内に含まれていた場合、フォントファイルからグリフを取得して、PDFに埋め込みを行います。この処理は TrueType、OpenTypeフォントに対してのみ行われます。
フォント埋め込み
PDFにフォントを埋め込むことで、フォントが存在しない環境でも表示可能なPDFファイルを作成することができます。デフォルトの設定では、すべてのフォントをPDFに埋め込みます。
TrueTypeフォントの場合、フォントの埋め込みの指定によらず、フォントが対応する文字セットに定義のない文字は、フォントの埋め込みを行います。なお、埋め込みを行うフォントとして指定された場合、指定されたフォント内の文字は文字セットに含まれている文字か否かによらず、埋め込まれます。
Type 1フォントの場合、フォントの埋め込みの指定によらず、フォント固有のエンコーディング(font specific encoding)を持つフォントは、埋め込みを行います。TrueTypeの場合と同様に、埋め込みを行うフォントとして指定されたフォントは、標準のエンコーディング(standard encoding)を持つフォントも埋め込まれます。
埋め込みが許可されていないフォントをPDFに埋め込むことはできません。 埋め込みを行うフォントの指定方法についてはPDF出力の設定を参照してください。
指定によらず、常にフォントの埋め込みを行うことがあります。以下の場合は、常にそのフォントを埋め込みます。もし、そのフォントが埋め込み禁止の場合、そのフォントを利用することはできません。
- 次のスクリプトのフォント
- Ethi : エチオピア文字
- Arab : アラビア文字
- Syrc : シリア文字
- Hebr : ヘブライ文字
- Deva : デヴァナガリ文字
- Beng : ベンガリ文字
- Guru : グルムキ文字
- Gujr : グジャラート文字
- Orya : オリヤ文字
- Taml : タミル文字
- Telu : テルグ文字
- Knda : カンナダ文字
- Mlym : マラヤラム文字
- Sinh : シンハラ文字
- Thai : タイ文字
- Khmr : クメール文字
- Laoo : ラーオ文字
- Mymr : ミャンマー文字
- Zsye : 絵文字
- リガチャされた文字 ☞ axf:ligature-mode
- font-variant によって、変更された字体(small-capsのエミュレーションを除く)
- 異体字選択された文字
- 16bitで表現できない Unicode の文字
- axf:font-face で指定されたフォント
画像出力
サポートしているグラフィクスについては、「グラフィクス」を参照してください。
ベクタ画像
次のベクタ画像は、PDF命令に置き換えられてベクタのまま直接PDFに出力されます。そのため、画質の劣化はありません。
これら以外のベクタ画像は、ラスタ画像に変換されてPDFに出力されます。このときに生成するラスタ画像の解像度を変換結果のPDF内でのdpi値で指定することができます。PDF出力の設定の rasterize-resolution を参照してください。ただし、ラスタ画像への変換は Windows版のみ対応しています。非Windows版では直接 PDFに出力できないベクタ画像は無視されます。
注意: | 「Antenna House Formatter CGM オプション」が組み込まれていない場合、CGMの出力はできません。 |
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ラスタ画像
一般に、ラスタ画像データは何らかの方法で圧縮されています。 もし、その圧縮(非圧縮)方法がPDFファイルに適合するならば、そのラスタ画像はそのままPDFに埋め込まれます。 そうでない場合は、まず、そのラスタ画像を非圧縮化して、PDFと互換性のあるビットマップ形式に変換します(非圧縮化できないラスタ画像は扱うことができません)。 そして、そのビットマップ形式を JPEGまたはZLIB圧縮(BitMap形式のFlate圧縮)してからPDFに埋め込みます。 オプション設定ファイルのPDF出力の設定の、color-compression、color-jpeg-quality 属性を参照してください。ラスタ画像が直接PDFに埋め込まれた場合、これらの属性は適用されません。
PDFに直接埋め込むことのできるラスタ画像は以下のとおりです。
ただし、次のような制約があります。
- Progressive JPEG、Interlaced GIF は通常の JPEG、GIF に変換されます。
- PNG、TIFFで、16ビットカラーは8ビットカラーに切り詰められます。
- PNG、TIFFで、αチャネルが付いている場合は分離されます。
- TIFFでは対応していない形式があります。
- JPEG 2000は、PDF1.5以降のときのみPDFへ埋め込まれます。それ以外ではJPEGなどに変換されてから埋め込まれます。
ダウンサンプリング
Antenna House Formatter V7.4 では、PDFに埋め込まれるラスタ画像のダウンサンプリングを行うことができます。
PDFオプション設定ダイアログ の 圧縮ページ や、オプション設定ファイル でどのようにダウンサンプリングするかを指定しておきます。
圧縮には、以下の制約があります。
JPEG圧縮が可能なのは以下の場合です。条件を満たさない場合はZLIB圧縮となります。
- BitsPerComponentが8
- カラースペースが、CMYK、RGB、グレイスケール、CIE L*a*b* のいずれか
JPEG 2000圧縮が可能なのは以下の場合です。条件を満たさない場合はJPEG圧縮となります。
- PDF1.5以降
- BitsPerComponentが8
- カラースペースが、RGB、グレイスケール、CIE L*a*b* のいずれか
マルチメディア
ビデオやオーディオなどのマルチメディアデータをPDFへ埋め込むまたはリンクすることができます。 指定は、次のように <fo:external-graphic> で行います。
HTMLでの指定は、次のように <object> または <video> で行います。
または
content-type(HTMLではtype属性)の指定は必須です。Antenna House Formatter V7.4 は、src に指定されたデータが、この content-type に従っているものと仮定します。データの内容をチェックしたりすることはありません。 axf:poster-image(HTML <video>要素ではposter属性)でポスター画像を指定することができます。GUIでは、ポスター画像が表示されます。 width、height の指定がない場合は、参照領域の大きさが仮定されます。 マルチメディアを埋め込むのかリンクするのかは、axf:multimedia-treatment で指定します。
注意: | PDFでは、マルチメディアは注釈の一種として組み込まれます。ポスター画像を印刷したいときは、axf:annotation-flags="Print" を指定してください。 |
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axf:show-controls(HTML <video>要素ではcontrols属性)の指定がある場合、再生中のマルチメディアの下側にコントロールバーが表示されます。コントロールバーと他の要素とが重ならないようにするにはマルチメディア要素の下側に充分なスペースの確保が必要です。
注意: | コントロールバーが表示されるか否かは、マルチメディアデータ、ビューア、プレイヤに依存します。 |
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マルチメディアとして、デフォルトで受け付けるコンテントタイプは以下のとおりです。
- audio/*
- video/*
- application/x-shockwave-flash
これら以外のコンテントタイプは、オプション設定ファイルの <multimedia> で追加することができます。 代表的な拡張子とコンテントタイプの組み合わせの例は以下のとおりです。
拡張子 | コンテントタイプ |
---|---|
*.3g2 | video/x-msvideo |
*.3gp | video/x-msvideo |
*.aac | audio/basic |
*.aiff | audio/x-aiff |
*.asf | video/x-ms-asf |
*.au | audio/basic |
*.avi | video/x-ms-wm |
*.dv | video/x-dv |
*.f4v | video/mp4 |
*.flv | video/x-msvideo |
*.ivf | video/x-ivf |
*.m1v | video/x-mpeg |
*.m2v | video/x-mpeg |
*.m4a | audio/mp4 |
*.m4b | audio/x-m4b |
*.m4v | video/mp4 |
*.mid | audio/x-midi |
*.midi | |
*.mov | video/quicktime |
*.mp2 | audio/x-mpeg |
*.mp3 | audio/x-mp3 |
*.mp4 | video/mp4 |
*.mpe | video/mpeg |
*.mpeg | |
*.mpg | |
*.qt | video/quicktime |
*.swf | application/x-shockwave-flash |
*.wav | audio/x-wav |
*.wma | audio/x-ms-wma |
*.wmv | audio/x-ms-wmv |
*.wmx | audio/x-ms-wmx |
これらが正しく再生できるかどうかは、PDFのビューアに依存します。再生時に、「プレーヤー不足」や「コーデック不足」のエラーが出た場合は、対応するプレイヤやコーデックの導入で再生可能になることがあります。
以下の制約があります。
- PDF1.5 以降で有効です。ただし、PDF/X、PDF/A は除きます。
- background-image に指定することはできません。
- axf:poster-image に指定することはできません。
注意: | Adobe は 2020年12月31日で、Flash Player のサポートを終了しました。Flash の利用はお勧めできません。 |
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リッチメディア
マルチメディアを、リッチメディア注釈として埋め込むことができます(ここでは、そのようなマルチメディアを単にリッチメディアと呼びます)。 これは、再生のために外部のプレイヤなどを必要としません。 指定は、次のように <fo:external-graphic> へ axf:multimedia-treatment でリッチメディアであることを指定します。HTMLでの指定は、<object> または <video> で行います。また、有効なプロパティに違いがあります。詳細は画像・マルチメディアを参照してください。
以下のマルチメディアをリッチメディアとして埋め込むことができます。
拡張子 | コンテントタイプ |
---|---|
*.3g2 | video/x-msvideo |
*.3gp | video/x-msvideo |
*.f4v | video/mp4 |
*.flv | video/x-msvideo |
*.m4v | video/mp4 |
*.mov | video/quicktime |
*.mp3 | audio/x-mp3 |
*.mp4 | video/mp4 |
*.swf | application/x-shockwave-flash |
サポートされているデータ形式であっても正しく再生するには、ビデオやオーディオのコーデックと Adobe Acrobat の Flash Player とに互換性が必要です。
以下の制約があります。
- PDF1.7 以降で有効です。ただし、PDF/X、PDF/A は除きます。
- background-image に指定することはできません。
- axf:poster-image に指定することはできません。
注意: | Adobe は 2020年12月31日で、Flash Player のサポートを終了しました。Flash の利用はお勧めできません。 |
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その他
-
Antenna House Formatter V7.4 では、<fo:root>や<html>のルート要素に言語が指定されている場合、それをPDFの言語情報として出力します。言語が指定されていない場合、オプション設定ファイルのdefault-langの指定があれば、それが言語情報として出力されます。
Antenna House Formatter V7.4 では、出力 PDF のファイルサイズを縮小する 高圧縮設定 が指定できます。高圧縮設定 は、GUI の PDFオプション設定ダイアログ の 圧縮 で指定できます。PDFのサイズは小さくなりますが、画質は低下しますので注意してください。採用される設定値は、オプション設定ファイルの color-compression-minimum、grayscale-compression-minimum、monochrome-compression-minimum などで指定しておくことができます。
既定値の 高圧縮設定 では次のように設定されます。
圧縮の効果は、元画像の種類、形式、カラースペース、圧縮率 などさまざまな要因で異なります。pass-through="all" の方がサイズが小さくなることもあります。